2019.04.02

老舗文具ブランドとのコラボ秘話

ノートと私の物語。 第2話

profile
鈴木 セリーナ

大分県出身
幼少期から英才教育を受けお嬢様として育つ。 16歳の頃、親への反発心からドロップアウト。
年齢を隠して、地元クラブのホステスとなる。
20歳の頃、「銀座のクラブのママになりたい」と夢見て上京。
当時、テレビなどで有名だった銀座高級クラブ「F」で働く。
相手の懐に飛び込むトークと物怖じしない性格が受け、たちまち人気ホステスとなる。
その後、銀座老舗クラブ「江川」に引き抜かれ、売上ナンバーワンに。
銀座ホステスを辞めてからは、主に文房具を扱う企画会社とタレントキャスティング会社を起業。
ビジネスの世界でも成功を収める。
マルチクリエイティブプロデューサー。
経済界からマスコミ業界、政界まで、様々な業界のトップクラスと交友が深いことでも知られる。
現在は、出身地である大分の街おこしにも携わっている。

 

 

前回お話しした「斜めに書く人のためのまっすぐノート」。
1回目にアポイントをとり専務にお会いして、2回目にデザインを出し、3回目にデータを納品、現金で企画料をいただきました。けれどこの時、すでにツバメノートとは別の企画が始まっていました。今回はそのお話をしようと思います。

 

 

 

 

実はツバメノートという会社。1947年からノートを作り続けているという素晴らしい歴史があるにもかかわらず、当時、大きな賞をとったという実績を聞いたことがありませんでした。そこで私は専務に提案したのです。「グッドデザイン賞をとりませんか?」と。

 

「グッドデザイン賞」というのは1957年に創設されたデザインが優れた物事に贈られる賞のこと。受賞件数は47,000件(2019年3月現在)を越え、あらゆる分野においてのデザインが評価されています。私は以前、その展示会を見に行きグッドデザイン賞を知り、普段よく目にする商品が受賞しているのだな、と記憶していました。なので、みんなが知っているツバメノートが受賞していないのはもったいないな……と思ったのです。なぜなら、歴史があり、看板商品を持っている会社の多くはこの賞をとっていましたし、受賞の証の「Gマーク」は、消費者から信頼されることを知っていたからです。

 

専務にこのことをお話しすると、すぐに「是非ウチもとりたい」という答えが返ってきました。けれどどうやったら受賞できるのかわからないと相談されたので、私が代理で進めることになりました。事務局に問い合わせてみると、電話で応対された方も「ツバメノートが受賞されていないのは意外ですね、ぜひ申請してほしい」ということだったので、早速オンラインで申請をしました。そして申請をしたその年の2012年、ツバメノートの特徴であるカバーの枠のデザインについて、「グッドデザイン賞」を受賞することができたのです。

 

元々私はツバメノートのファンでしたから、「グッドデザイン賞」がなくても、このノートの良さをもっと多くの人に知ってほしいと思っていました。けれど、「斜めに書く人のためのまっすぐノート」を作るにあたり作り手のこだわりを知ることで、その思いはより一層強くなったのです。

 

例えば、
裏写りせずなめらかな書き心地の“フールス紙”を使っていること。
インクをはじかない職人手作業の“罫線”を採用していること。
開きやすく丈夫で、長期保存にも適している“糸綴じ製法”で作られていること…。

 

私が書きやすいと思ったのには、こういう秘密があったからなんだ。何より使う人のことを考えて作られたこのノートは、もうただのノートではなく伝統工芸品に他ならない……。知れば知るほど熱い気持ちが込み上げてきて、作り手の思いを伝えたいと思うようになったのは自然な流れでした。そんな思いが今回の提案に結び付いた、というわけだったのです。

 

(続)

 

取材・文/まちおこし

撮影/八坂悠司