しあわせの作り方。

2019.02.21

元銀座No.1ホステスで、現在は実業家として様々な事業を展開している鈴木セリーナと、2010年のR-1ぐらんぷり王者に輝いた、お笑い芸人のあべこうじ。お二人が出会ったのは、2015年、「健康」というキーワードで意気投合し、今日まで親交を深めてこられたそうです。今回は対談形式で、仕事に対する向き合い方から、お互いの人生観まで、じっくり話し合ってもらいました。

文=島野美穂(清談社)
写真=関大介(世紀工房)

プロフィール

鈴木セリーナ大分県出身。幼少期から英才教育を受けお嬢様として育つ。16歳の頃、親への反発心からドロップアウト。年齢を隠して、地元クラブのホステスとなる。20歳の頃、「銀座のクラブのママになりたい」と夢見て上京。当時、テレビで有名だった銀座高級クラブ「F」で働く。相手の懐に飛び込むトークと物怖じしない性格が受け、たちまち人気ホステスとなる。その後、銀座老舗クラブ「江川」に引き抜かれ、売上ナンバーワンに。銀座ホステスを辞めてからは、主に文房具を扱う企画会社とタレントのキャスティング会社を起業。マルチクリエイティブプロデューサーとして、ビジネスの世界でも成功を収める。実業界から政界、マスコミ業界まで、様々な業界のトップクラスと親交が深いことでも知られる。
あべこうじお笑い芸人。1975年2月19日生まれ、神奈川県出身。O型。お笑いコンビ・カンヴァスとしてデビュー。2001年の解散後はソロ芸人として数々の番組に出演する。漫談をベースとする話芸の巧みさが話題になり、一躍スポットライトを浴びる。R-1ぐらんぷりで優勝するなど、実力派の芸人として知られている。

No.1 はじまり

——実業家のセリーナさんと、お笑い芸人のあべさん。一見すると接点が見えないのですが、お二人の出会いのきっかけを教えてください。

あべさんと出会ったのは4年くらい前、共通の知り合いを介して、食事に行ったのが最初です。恵比寿のオーガニックレストランに行きました。

——セリーナさんの第一印象は、覚えていらっしゃいますか?

元銀座No.1ホステスで、今は会社を経営している実業家だというお話をしてくれましたよね。それ聞いて、シンプルに「怪しい人だな」って思いました。

(笑)。

No.1ホステスだったっていうけど、今いろんなNo,1ありますからね。どのNo.1なのかな? って。

その気持ちはわかります。初対面の人にとって、私って怪しい人と思うかもしれない(笑)。
私は、あべさんが芸人さんだっていうのは聞いていたんですが、普段テレビをまったく見ないので、どんなネタをされる方なのか、まったく知らなかったんです。失礼ながら、奥様のことも存じ上げなくて…。

そうそう。うちの奥さんのこと知らないなんて、非国民だなってうっすら心の中で思ってましたよ。

すみません!(笑)。

——セリーナさんから見た、あべさんの第一印象はどうでしたか?

骨盤矯正の話をしたことが印象に残っていますね。私は18歳の時に子供を産んだのですが、産後に自分の体型が変わっていくことがすごく気になって、ピラティスの動きや加圧を取り入れたボディデザインのレッスンを受けるようになりました。その話をしたらあべさんが「それはすごく大事なことだよ」っておっしゃってくれたんですよ。

しましたね、骨盤矯正の話! 覚えています。

——あべさんも骨盤矯正に関心があったんですね。

じつは僕、バランスボールインストラクターの資格を持っているんです。バランスボールって、骨盤トレーニングにすごく効果的な器具なんですよ。そしてそのライセンスを発行しているのが、『一般社団法人体力メンテナンス協会』というところなのですが、そもそもこの協会は、産後の女性の体のケアを目的に設立されたんです。なのでバランスボールのほかにも、産後指導士、体力指導士のライセンスがあって、それらを全部取得しました。

その話を聞いて、本当にすごいなって思ったんです。産後のボディデザインの話をすると、私の周りの女性たちは「そこまでする必要ある?」という反応なんですけど、あべさんは、「それが当たり前」という感じで。

そうです。普通のことですからね。実際に、インストラクターや指導士の資格を取得する過程で、産後に悩んだという女性の話をたくさん聞きました。それはセリーナさんのように体型についてだったり、あるいは精神状態が不安定になってしまうことだったり。みんな何かしら悩んでいるのに、ただ我慢するだけの人が、すごく多いんです。バランスボールをはじめ、ケアする方法がちゃんとあるのに、みんな知らないのは、すごく残念なこと。それを伝えるのが、産後指導士です。

おっしゃる通りだと思います。

——あべさんが、バランスボールインストラクターというのは、初耳でした。なぜ資格を取得しようと思ったんですか?

僕、青森県でレギュラー番組を持ってるんですけど、青森って日本で一番、短命の県なんです。せっかく青森でお仕事させていただいてるので、県民の皆さんを元気にするお手伝いができないかなと思っていて。そこでふと、「バランスボールってみんなができるし、いいんじゃないか?」と。

たしかに、体力のない人や、運動習慣がない人でも、すぐ始められますよね。

そうなんです。あと単純に、バランスボールってお笑いに使えるなって思ったんですよ。インストラクターになる最後の実技テストを、お客さんの前で披露するという企画にしました。

——舞台上で、インストラクターのテストが受けられるんですか!?

できるんです。舞台上で、音楽を流して、バランスボールの説明をしながら動くわけです。お客さんからしたら、この人、舞台上で何やってるんだろう? って感じだったでしょうね。

想像するだけで面白いですね(笑)。その舞台って、『ルミネtheよしもと』ですか? 私も以前、あべさんにワンマンライブにお誘いいただいて、観に行きました。

——芸人・あべこうじのネタを初めて観た感想をお願いします。

本当に面白かったです! 漫談だったんですが、たった一人で1時間喋って、あんなにお客さんを盛り上げるって、なんてすごい人なんだろうって。

ありがとうございます。きっと当たりの回だったんでしょうね(笑)。

あべさんが、芸人さんとして普段、どんなネタをしているか知らなかったことが恥ずかしくなるくらい、私、感銘を受けたんです。次々に違う話題が飛び出して、それがうまいタイミングで繋がり、最後にはそれまでのすべての伏線が回収されてるようなネタでした。それから強く感じたのが、まるで歌を歌うようにお話されますよね。それが心地好くて…。

そう言っていただけると嬉しいです。僕、常々、歌のようなネタを作りたいと思っているんですよ。歌って、何度も繰り返し聴きたくなるじゃないですか。そんな風に、何度も聴きたくなるような漫談ができたらいいなって思ってるんです。

それが、ちゃんと伝わってます。伝えるのが上手ってことは、つまり、頭がいいんですよ。

いやいや、僕、頭悪いですよ。工業高校の化学科で、赤点の常連でした。最終的に、「屋上で校歌を大きい声で歌う」という試験をクリアして卒業したくらいです。

(笑)。じゃあ、きっと地頭がいいんです。考え方も独特ですよね。たとえば、“ポジティブ”ってなんだろうと考えたとき、多くの人は「前向き」という言葉で説明すると思うんです。でもあべさんはそうではなくて、もっと本質を捉える見方をされているというか……。感覚的ではなくロジカルに説明してくれますよね。

——ポジティブを、ロジカルに捉える……というのは?

僕は、ポジティブは、前向きという意味ではなく、「自分の心に素直になること」を指すと思うんです。だって、無理やり前向きになったとしても苦しいだけで、それはポジティブとは言わないんじゃない? って。

そう! 表現の仕方は違うけれど、私もまったく同じことを考えています。

結局、人も世界もすべて素粒子で出来てますからね。悪いことを口にすれば負のエネルギーが……と、こういう話を始めると、時間が足りなくなりますね。

たしかに(笑)。次の機会にお願いします。

(第2回に続く)