大分トリニータの応援ソングを作る。

2019.03.26

元銀座No.1ホステスで、現在は実業家として様々な事業を展開している鈴木セリーナと、2010年のR-1ぐらんぷり王者に輝いた、お笑い芸人のあべこうじ。対談第2回目は、お二人が手がけた大分トリニータの応援ソングについて語ってもらいました。応援ソングを手がけることになったきっかけ、そして、楽曲に込められた想いとは?

文=島野美穂(清談社)
写真=関大介(世紀工房)

プロフィール

鈴木セリーナ大分県出身。幼少期から英才教育を受けお嬢様として育つ。16歳の頃、親への反発心からドロップアウト。年齢を隠して、地元クラブのホステスとなる。20歳の頃、「銀座のクラブのママになりたい」と夢見て上京。当時、テレビで有名だった銀座高級クラブ「F」で働く。相手の懐に飛び込むトークと物怖じしない性格が受け、たちまち人気ホステスとなる。その後、銀座老舗クラブ「江川」に引き抜かれ、売上ナンバーワンに。銀座ホステスを辞めてからは、主に文房具を扱う企画会社とタレントのキャスティング会社を起業。マルチクリエイティブプロデューサーとして、ビジネスの世界でも成功を収める。実業界から政界、マスコミ業界まで、様々な業界のトップクラスと親交が深いことでも知られる。
あべこうじお笑い芸人。1975年2月19日生まれ、神奈川県出身。O型。お笑いコンビ・カンヴァスとしてデビュー。2001年の解散後はソロ芸人として数々の番組に出演する。漫談をベースとする話芸の巧みさが話題になり、一躍スポットライトを浴びる。R-1ぐらんぷりで優勝するなど、実力派の芸人として知られている。

No.2 大分トリニータの応援ソングをつくる。

——お二人は今、お仕事でもご一緒してらっしゃるんですよね。

はい。私の会社で大分トリニータ※の応援ソングを作ることになったので、その作詞をあべさんにお願いしました。
※大分県にホームチームを持つJ1プロサッカークラブ

セリーナさんが書いた『おじさん取扱説明書』という本を、無理やりくれるというので呼び出されたんです。作詞のお話をいただいたのはそのときでしたね。

そうでしたね(笑)。
私も作詞はするんですけど、恋愛や人生のことを書くことが多かったので、サッカーの応援ソングとなるとちょっと違うかなと。そんなとき、あべさんのワンマンライブを思い出したんです。あべさんて、ほしい言葉をほしいときにくれる、言葉の魔術師なんですよ。なので、あべさんならきっとトリニータのサポーターに気に入ってもらえる詞を書いてくれると思い、オファーしました。

——オファーを受けて、あべさんはどうでしたか?

いやぁ、嬉しかったですね。これまで大分で仕事をする機会がなかったので、いよいよ僕にも来たなと。

たしか、奥様は大分でよくお仕事をされてるんですよね?

そうなんです。2014年に大分県を舞台にした『カラアゲ☆USA』という映画に主演したのをきっかけに、たびたび大分に行ってるんです。それで今回僕も大分で仕事をさせてもらえることになったので、なんだかご縁を感じてしまいます。

——そもそも、クラブチームの楽曲を作ることになったきっかけは、なんだったんですか?

私が大分県出身ということで、以前からイベントにタレントをキャスティングするなど、お仕事を通じて大分トリニータさんとは仲良くさせていただいてました。
大分トリニータって、すごいクラブなんですよ。ほかのJ2クラブの平均集客が7000人なのに対して、トリニータは約9000人。多いときだと1万人も入るそうです。

すごい人気ですよね。

ただ、それほどまでの集客があるにもかかわらず、なんと公式の応援ソングがなかったんです。

人気クラブなのに、公式の応援ソングがないのは、意外ですよね。

それで、トリニータの社長さんとお話をする機会があったので、応援ソングを作ったらどうですかと提案してみました。ところが、運営側には曲を作るノウハウがなかったんです。そういうことなら、うちがスポンサーになってパートナーシップを結ぶので、ぜひ曲作りをさせてくださいとお願いしました。
私の会社なら楽曲は実績のあるプロたちに作ってもらえるし、著作権の管理も大手音楽出版社に委託できるから、きっと、大分トリニータのお役に立てますと。

——なるほど、そういう経緯だったんですね。

私もいつか出身地である大分に恩返しがしたいなと考えていたので、願ってもないチャンスでした。
それに、スポンサーの一社が、こうやって東京のタレントさんを招致して、さらには公式の応援ソングを作るということは、ほかのスポンサー企業にも良い刺激を与えるはずだと思ったんです。ただ曲を作って終わりというのではなく、この企画をきっかけに新たなプロジェクトが生まれたら・・・と思っています。

——制作した楽曲について、詳しく教えていただけますか?

最初の段階で、大人が盛り上がれる曲と、子供が喜ぶ曲の2パターンを作りたいという構想がありました。
そこで誕生したのが、『GoGoゴール!!』と『トリニータイソウ』という2つの曲です。
『GoGoゴール!!』はシンセサイザーを用いた、エレクトロニックな曲調に仕上がっています。応援時には、サポーターが太鼓を叩きながら歌える演出もあります。
もう一つの『トリニータイソウ』は、子供が喜びそうなフレーズをちりばめた体操曲です。大人も子供も一緒に踊れるようになっているんですよ。

——なぜ、体操曲を選んだのでしょうか?

私の会社は『ようかい体操第一』『ようかい体操第二』※を歌うタレントをマネジメントしていたこともあり、体操曲を流行らせるノウハウを持っています。それを活用したいと思い、体操曲にしました。
※アニメ『妖怪ウォッチ』のテーマ曲

——取材前に、お二人で歌って踊ってらっしゃいましたよね。大分弁の「やれるっちゃ」という歌詞がかわいかったです。

地元の方々に愛される曲にするために、大分弁は絶対に入れたかったんです。あべさんも事前に大分弁を勉強してくださって、とても助かりました。
ほかにも、入れてほしいキーワードをいくつかお伝えしていて、それらをうまく歌詞に盛り込んでもらいました。

セリーナさんから、絶対にうんちは入れてほしいと言われましたね。

子供に響くワードで、うんちとお尻って鉄板なんです(笑)。だからどうしても入れたくて。

——歌い始めが「けちらせケツ出せプリプリ」なので、インパクト抜群ですよね(笑)。曲が頭から離れません。

もちろん、それが狙いです。かといって、ただ面白いだけじゃなくて、歌詞をよく読むと、背中を押してくれるような熱いメッセージも詰まってるんですよ。さすが、あべさんだなぁと思いました。

ありがとうございます。『GoGoゴール!!』も選手の応援歌ではあるけれど、人生に置き換えることもできる内容にしています。そのあたりに注目してもらえたら嬉しいですね。

——大分トリニータのファンたちに歌ってもらうための仕掛けとして、どんなことを考えていらっしゃるんですか?

まずは、動画です。大分に関わる皆様に『トリニータイソウ』を踊っていただいて、それをYouTubeで配信したいと思ってるんです。覚えやすくて、とってもかわいいダンスになっています。振付師の先生は、あべさんからご紹介いただきました。

『モーニング娘。』の振り付けもしていた、木下菜津子さんこと、なっちゃん先生という方です。

——動画がすごく楽しみです! どんな方が出演される予定なんですか?

幼稚園や小中学校の子供たち、そのほか大分にゆかりのある企業の方々に踊ってもらいたいなと思っています。あ、そう考えると、動画の中で大分県民じゃないのはあべさんだけかも。

それ、嬉しいですね~!

(第3回に続く)