女性が気持ちよく働くために習得すべき“スキル”
前回は、オジサンと若い女性の距離が縮まることで、もっと働きやすくなるというお話でした。お二人が思う「女性の働き方」について、さらに詳しくお聞きしたいです。
秦さんと最初にお会いしたときにお話をしたのが、“ウーマンエンパワメント”についてでしたよね。
よく覚えています! 女性がある程度キャリアを積むと、男性に勝ちたいと言いだすケースが多いという話をしました。
ただ、残念ながら今の日本では、企業の重役を担っているのは、ほとんどが男性です。世に名が知られる企業の重役ほど、その傾向が強いと感じています。今後は女性がもっと進出していくと思いますが、私たちが現役で働いているうちに実現することは、正直なところ難しいと思っています。
でもその間、何もできないというわけではなくて、今の環境の中でも、もっと生きやすくすることはできます。
どういうことをすれば、より生きやすくなるのでしょうか?
ビジネスマンにヒアリングしてみると、30歳前後の女性が一番扱いづらいという話をよく聞きます。意見がぶつかってストレスだと言うんですね。
でもそれは、女性側の言い方に問題がある場合が少なくありません。「もし、こういう言い方だったらどうですか?」と聞くと、大体男性は「それなら問題ない」と言います。
言い方は大事ですよね。仕事はもちろんのこと、家庭や人間関係でも、必要なスキルだと思います。
スキルといえば、私は秦さんの「人に嫌われないスキル」がすごく羨ましいと思っているんですよ。
え、本当ですか? 正直、まったく自覚ないです! そもそも私、人に嫌われないでいようと思っている人が、あまり得意じゃないんです。特に、役職がある人に関しては、上に立つ以上嫌われて当然なわけで、その覚悟がなければ就くなとすら思っています。なので、私は嫌われて当然と思って仕事をしています。
でも、私が秦さんの会社にお邪魔すると、みんな秦さんを大好きなのが伝わってきます。私の場合は、どちらかというと「セリーナは本当にどうしようもないやつだ。でも仕方ないな」という人たちがついてきてくれるんですよ。
でも秦さんのチームは、積極的に秦さんについていきたいというメンバーが集まってるように見えます。
まったく意識はしていませんが、人に恵まれているなとは思っています。私は自分には何もできないと思っているんです。たとえば、カメラを回すこともできないし、テキストを書くプロでもないし、スタイリングもできません。私の仕事は、プロが集まってくれてやっと成立するものです。さらに、集まってくれたメンバーたちが、熱い気持ちで参加してくれないことには、良いものは生まれません。なので、私がいかに「面白いものを作っている!」と確信を持っているかを周りに伝えて、それぞれに“自分ごと”にしてもらうことに一番力を入れているかもしれません。
私も、まったく一緒です。私一人では何もできないので、周りの人たちに助けてもらっています。そうして、一緒にプロジェクトをすることになったチームのメンバーには、同じ温度を持ってもらうことを大事にしています。私は今、大分トリニータのスポンサーとして、大分の町おこしをしようとしていますが、やはり、メンバーみんなが同じ温度でいないと、大きなムーブメントって起きないんですよね。
だけど、チームの人数が多くなればなるほど、みんなが同じモチベーションを保つことは難しくなっていきます。
セリーナさんは、その場合はどうされていますか?
最大限努力はします。何が問題で、どういう改善方法があるのか提案して、しばらく様子を見ます。そこで改善できればいいのですが、それでもできないケースもあります。なのでそうした場合には本当のことをお伝えしたうえで、チームから外れてもらいます。悪い影響がチーム全体に広がるほうがリスクだと思うので。秦さんはそういう状況のときどうするのか、お聞きしたいです。
秦編集長と鈴木セリーナのリーダーシップ論とは?
私の場合は、もしチームにモチベーションの低い人がいるなら、同じような人たちを何人かまとめて、マイノリティにするチーム構成にしています。
モチベーションが低い人たちでも、優れている面を持っていたりするので、なるべくそこが目立つようなバランスを組むようにしていますね。
なるほど!
でも、それはそれで難しいところもあります。モチベーションが高い人と、そうでない人を分けることは、チームワークが崩れる原因にもなりえます。マイノリティの人たちも、優れている部分があるということを、全体にアピールしてあげないといけないので、コミュニケーションコストはかかります。
- 秦さんはやっぱり優しい。今のお話、すごく参考になりました。リサイクルできる人材はリサイクルするということですね。
- 逆に私は、セリーナさんのジャッジの早さはすごいと思います。一緒にお仕事をしていく中でも、実は、ひしひしと感じています。私一人だったら足を踏み込めていなかったところも、セリーナさんが一言「やろう」と言うと、足を踏み込まざるを得ない。でも結果的にそれが、私にとって心地良かったり。新たな発見です。
内なる自分が開花したような?
そう。セリーナさんのおかげで開花したかもしれません(笑)。
(第4回に続く)