profile

鈴木セリーナ

大分県出身。幼少期から英才教育を受けお嬢様として育つ。15歳の頃、親への反発心からドロップアウト。年齢を隠して、地元クラブのホステスとなる。20歳の頃、「銀座のクラブのママになりたい」と夢見て上京。当時、テレビで有名だった銀座高級クラブ「F」で働く。相手の懐に飛び込むトークと物怖じしない性格が受け、たちまち人気ホステスとなる。その後、銀座老舗クラブ「江川」に引き抜かれ、売上ナンバーワンに。銀座ホステスを辞めてからは、主に文房具を扱う企画会社とタレントのキャスティング会社を起業。マルチクリエイティブプロデューサーとして、ビジネスの世界でも成功を収める。実業界から政界、マスコミ業界まで、様々な業界のトップクラスと親交が深いことでも知られる。

頼朝(ヨリトモ)

プロデューサー、日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
元歌舞伎町ナンバーワンホストとして、ホスト業界の礎を築く。
引退後は広告代理店をはじめ、ファッション、スタイル誌「NINE CONTINUE」プロデューサー、商品プロデュース、飲食コンサルなど、幅広い分野で活躍。
シャンパーニュ好きが高じて、シャンパーニュオブザイヤーの予選審査員も務める。

04

めずらしく“夜の仕事”の話し Vol.04

鈴木セリーナ
頼朝さんに最近の水商売についてお聞きしたいです。歌舞伎町も銀座も、この10年で大きく変わったように思います。
頼朝
たしかに、僕が現役をしていた頃とは、ガラッと変わりました。その昔、ホストは3年以上できない仕事と言われていました。バカみたいな量のお酒を飲むから、やりたくても体がもたなかった。それが今では、“飲まないホスト”もいるくらいですから。僕らの時代ではそんなの絶対にありえませんでした(笑)。
鈴木セリーナ
かつては、ブランデーの飲み過ぎで、亡くなったホストもいるとおっしゃっていましたよね。
頼朝
はい。シャンパーニュが定番化する前、ブランデーを飲んでいた時代があったんですが、ブランデーのアルコール度数って、40〜50度とすごく高いんです。じゃんけんで負けるたびにブランデーをショットで飲まなきゃいけないゲームがあって、あれは相当キツかったなぁ…。そんなことを毎晩やっていたら体がおかしくなるのも当然です。
鈴木セリーナ
でも、頼朝さんの時代から、アルコール度数の低いシャンパーニュを飲むようになって、変わっていったんですよね。
頼朝
単価は高いけど、アルコール度数の低いシャンパンを売ることで、多利多売のビジネスモデルを定着させました。お酒であることは変わらないけど、ブランデーよりは体への負担も軽い。それもあって、ホストが息の長い仕事へと変わったのだと思います。
鈴木セリーナ
ホストそのものの変化についてはどう思いますか?
頼朝
昔はそれこそ稼ぎたいとか、僕みたいに借金を返したいという目的でホストになる人が多かったけど、今は美容関係の仕事をしている人が副業としてやっていたり、営業の勉強のためと言ってホストをやる人もいます。ホストクラブで働くことが、自己実現や社会勉強の場になっているのは、今どきだなぁと思いますよ。
鈴木セリーナ
ホステスも似たような現象が起きていると思います。かといって、昔はこうだったみたいなことを言うのも違うなぁと思って、たまに銀座のクラブに連れて行ってもらうのですが、お客様が女の子を楽しませている場面をよく見かけるんです。ホステスがお客様を楽しませないといけないのに、「え、それでいいの?」と驚きました。今の子たちにとってホステスは“着飾ってお酒を飲むアルバイト”くらいの感覚なのかもしれません。ホステスはお酒を飲むのが仕事なわけではないんだけど…と内心思うんですけどね。自分がいた頃の銀座とは別の世界と思って行くようにしています。
頼朝さんが前回おっしゃっていたように、ただ飲むよりも、自分自身をブランディングしたほうがずっと稼げる仕事だと思うから。
頼朝
すごくよくわかります。やっぱり水商売は自分を魅せてナンボの商売。それには、お客様と上手なディスタンスを取るスキルを磨かないといけない。簡単に言うと、モテるテクニックですよね。期待もさせるけど、勘違いさせすぎない距離感を掴むのが、ホストやホステスの腕の見せどころ。ギリギリの距離感をどれだけつかめるかが、売れる秘訣です。
鈴木セリーナ
おっしゃる通りだと思います。
頼朝
ただし、飲んで稼ぐやり方が一概に間違っているというわけでもない。お客様のなかには、とにかく一緒に飲みたいという方もいますから。
鈴木セリーナ
気持ちよく飲んで、お金を落としてもらうのもテクニックですよね。そうそう、今の話で思い出したんですが、お酒大好きな知人が先日、ホストクラブでシャンパンタワーを注文したら、お会計が800万円だったとか。ホストクラブの単価ってそんなに高いんですか!?
頼朝
ホストクラブは、エンタメ性も商品。その中でも、シャンパンタワーは一つのSHOWになっている。高いけど、その分お客様が楽しめるようになっているんですよ。でも、ホステスも似たような価格帯だと思いますよ(笑)。
水商売の未来について、真剣に考えてみる
スタッフ
--そんな水商売業界が、今、かつてないほどの苦境に立たされています。(※2020年6月現在)新型コロナウイルスの感染拡大を伝えるニュースでは、「夜の街クラスター」というワードがたくさん飛び交いました。この現状を、頼朝さんはどう思いますか?
頼朝
正直、同情しかありません。ニュースでは「昨日は何人感染者が出て、そのうち、夜の街では何人でした」と、わざわざ水商売をピックアップする。こうした報道の根底には、職業差別もやっぱりあるでしょうね。
鈴木セリーナ
ホスト=チャラい、金遣いが荒いとか?
頼朝
そう。「女の子とお酒飲んで、荒稼ぎしている奴ら」みたいなね。だから何かあったときも、「ざまぁみろ」で終わりです。実際そういう人も混じっているから仕方ないんですけど。というか、80%はそういう人か。
鈴木セリーナ
ホステスもそうですね(笑)。
頼朝
もう一つ、社会的な面で言うと、税収が計算できない職業というのも大きい。税収が見込める商売だったら、もっと守られていたでしょうね。
鈴木セリーナ
たしかにそうかもしれませんね。
頼朝
だからこれからは営業方法を変えて現金化していく仕組みを考えないと、生き残れないのではないでしょうか。それか、水商売をしている誰かが、区議会議員にでもなって、国の制度そのものを変えるとかね。
スタッフ
--頼朝さんはどうですか?
頼朝
絶対イヤですね!(笑)。やっぱり、今の人が作っていかなきゃだめですよ。
スタッフ
--じゃあ、もし今の状況が改善されたとして。頼朝さんは生まれ変わっても、もう一度ホストをやりたいと思いますか?
頼朝
やってもいいですよ。楽しいし、お酒好きですし。
鈴木セリーナ
私も一緒。やってもいいですよというのが一番近いです。やりたいか? と聞かれたらそうでもないですけど。けど、あのころに戻りたいかと聞かれたら答えはNOです。今のほうが断然楽しいし。もっと自由になれたら言うことないんですけどね。
頼朝
セリーナちゃん、まだ自由になりたいの? 昔も今もすごく自由そうに見えるけど。
鈴木セリーナ
それ、よく言われます。人から見た鈴木セリーナが自由かどうかという判断基準ではなく、私は私が思う自由な人間になりたいんです。まず、やりたくないことはやらない。絶対。そういう意味で、「今、すでに自由でしょ?」と言われると、たしかにそうなんだけど、まだまだ届かない。私は、もっともっと自由になりたいです。
頼朝
それ、もうどんだけ自由なのか想像もつかないよ。
鈴木セリーナ
そうでしょ。私は一生、“自由”を求めて生きていくんだと思う。
頼朝
いいねぇ。変わらないねぇ。