2020.10.13

SPECIAL TALKS

Vol.6

MY SONGプロジェクト~DJ DEKKA VERSION~⑤

前回、曲や企画の方向性を急転換させた当プロジェクト。
それまでに話し合った企画が姿を変えても“クリエイターたちが楽しいと思うこと”を優先させるという当初からのコンセプトを重視し、今回はギタリストの松井 ジャーマン Jr.を迎えて、構成や詳細を膨らませていく。

PROFILE

須賀 満
2003年10月、アルバム「Vo Vo Tau 01hz」でメジャーデビューを果たす。1stシングルカット「裸~nude~」の大ヒットにより(20万枚をセールスしオリコン総合最高順位8位)一躍脚光を浴びる。日本では稀なR&B生バンドとして音楽シーンに新たなジャンルを示し、シングル4枚、アルバム3枚をリリースした。2006年3月、惜しまれながらもVo Vo Tauを解散。その後、音楽プロデューサーとしての活動を開始。様々なアーティストへの楽曲制作(AI、ケツメイシ、加藤ミリヤ、Juliet、超新星、こぶしファクトリー、他多数)、CM音楽制作(ブルボン、lilidia※Web CM、rienda※Web CM、他多数)、映画音楽制作等にも携わる。 また最近では、新人アーティストの発掘からメジャーデビューへと、新人アーティストの育成(丸本莉子、The Super Ball)にも力を入れている。
鈴木セリーナ
大分県出身。幼少期から英才教育を受けお嬢様として育つ。15歳の頃、親への反発心からドロップアウト。年齢を隠して、地元クラブのホステスとなる。20歳の頃、「銀座のクラブのママになりたい」と夢見て上京。当時、テレビで有名だった銀座高級クラブ「F」で働く。相手の懐に飛び込むトークと物怖じしない性格が受け、たちまち人気ホステスとなる。その後、銀座老舗クラブ「江川」に引き抜かれ、売上ナンバーワンに。銀座ホステスを辞めてからは、主に文房具を扱う企画会社とタレントのキャスティング会社を起業。マルチクリエイティブプロデューサーとして、ビジネスの世界でも成功を収める。実業界から政界、マスコミ業界まで、様々な業界のトップクラスと親交が深いことでも知られる。
あべこうじ
お笑い芸人としてR-1ぐらんぷりで優勝するなど、実力派芸人として知られる傍ら、当サイト主宰の鈴木セリーナと共同作詞を手がけた、大分トリニータ公式ソング「GOGO ゴール‼︎」「トリニータイソウ」は強烈なインパクトで話題をさらった。お笑い芸人、作詞家にとどまらず話題づくりの天才としても名高い。
デッカチャン
1997年、お笑い芸人としてデビュー。エンタの神様などお笑い番組に出演し、「デッカチャンだよ!」を合言葉とした太っちょあるあるネタでブレイク。お笑い芸人としての活動を続ける一方、 J-POP・EDM・ハウスなどALL MIX ジャンルDJとして各地のクラブやイベントに出演。2013年にはNMB48 「3rd Anniversary Special Live」のオープニングアクトも務めた。近年では“日本一汗かくDJ”・DJ DEKKAとしてオリジナル楽曲「カラアゲイション」「オムラ」などを発表し、より広いミュージックシーンへ進出。アーティスティックな領域で活躍している。
松井 ジャーマン Jr.(第5回より初登場!)
ポップスは勿論、グルーヴィー、へヴィ、ブルージー、と何でもこなす作家としても活躍する今20代の中で最も注目されているギタリスト!!
1989年1月9日生まれ 中学生の時モンゴル800に影響を受けギターを始める。高校生でハードロックに影響を受け速弾きなどのギターテクニックを学ぶ。その後R&B, SOUL, JAZZなど様々な音楽を学び、同時に数々のコンテストで最優秀ギタリスト賞などを獲得し、同世代では群を抜く存在となる。グルーヴィーなR&Bを得意とし、速弾きへヴィロック、歌を引き立てるポップスプレイまで幅広くアーティストをサポート。エレキギターは勿論のこと、歌心あるアコースティックギターやガッドギターのプレイにもかなり定評がある。様々な音楽に影響された事を活かし、ポップス~映画音楽まで様々なジャンルの作・編曲家としても活躍中。

MY SONGプロジェクト~DJ DEKKA VERSION~⑤

SPECIAL TALKS / Vol.6

鈴木セリーナ(以下鈴木):
デモ音源お聞きしたんですが、手洗いの曲が短調になるとは思わなかったです(笑)

一同:
(笑)

松井 ジャーマン Jr.(以下松井):
セクションで分けると、イントロ、Aメロ、サビ、そして台詞が入るという感じの構成ですね。
鈴木:
子どもの声も入れようって話していたので、あえてのアラビアンっぽいメロディーがミスマッチでいいかなって思いました。
須賀満(以下須賀):
子どもの声を入れるとなると『みんなのうた』みたいな感じになるイメージですかね?
鈴木:
浜崎あゆみさんの『INSPIRE』っていう曲のサビのダンスがイメージに合っているなって思ったんですけど、どうでしょう?手を振る動きが多いので、ちょうど手を洗っている感じで(笑)。
あべこうじ:
いいですね。でも子どもの声を入れるとなると、『クレヨンしんちゃん』の『ママとのお約束条項の歌』みたいな感じもありかなと思いました。
デッカチャン:
名曲ですよね。
鈴木:
たしかに。でも王道路線より良い意味で違和感のある楽曲の方が、映像を作ったときにデッカチャンが映えそうな気がします。
松井:
あ、MVも撮るんですか?それならインパクトがある方が合いそうですね。
デッカチャン:
いいですね。…でも今さらなんですけど「ごまをする」っていう歌詞を子どもに歌ってもらうのはどうなんですかね…?(笑)
須賀:
落とし方じゃないですか?「ごまをする」っていうことを押しつけちゃうと悪いイメージもありますけど、コミカルな振り付けにして、最後にお母さんに「ごますっている暇があるんなら手を洗いなさい!」って叱られるとか(笑)、そういう風にまとめたらよさそう。
あべこうじ:
怒られた後で「いただきます」っていう台詞と振り付けを入れると明るくていいですね。
鈴木:
それならマスクの作り方とか、トイレットペーパーの在庫はあるぞとか色々なバリエーションが作れそうですね(笑)。
須賀:
歌詞の中に「コロナ」という言葉を使わずに作りたいですね。

鈴木:
いいですね!じゃあその方向で、ちょっと歌詞変えましょうか。
松井:
今思ったんですけど、童謡って使ってもいいんですかね?子どもの声の後ろで「なんか聞いたことあるな」っていうメロディーをシンセ※で鳴らすのもありかなと。

※シンセ:シンセサイザーの略。電子回路によってさまざまな音を出す楽器。

鈴木:
著作権が切れているものだったら問題ないんじゃないですか?デッカチャンはなにか好きな童謡ありますか?自分に合っていると思う曲とか。
デッカチャン:
なんだろう…暗いのしか出てこない…『故郷』とか(笑)。…あ、『マイム・マイム』とか?
鈴木:
ああ、なんかかっこよくなりそうじゃないですか?
須賀:
MV作るんだったら、マイム・マイムはそのまま振り付けに取り入れてもよさそうですね。歌っている本人は別の新しいダンスをしているんだけど、バックでは音に合わせてマイム・マイムを踊っている、みたいな。
あべこうじ:
そもそも「マイム・マイム」ってどういう意味なんですかね?マイム…?
鈴木:
イスラエル…?なんか旧約聖書ですよね?
デッカチャン:
(調べながら)あ、旧約聖書の「あなたたちは喜びのうちに救いの泉から水を汲む」っていう一説がそのまま歌詞になっているみたいです。
あべこうじ:
「マイム(mayim)」がヘブライ語で「水」を指すんですね。
鈴木:
いいですね、「救いの水」を「手洗いの水」に。

須賀:
つながりましたね(笑)。
デッカチャン:
メロディーはどうしましょうか?デモ音源だとラップみたいな感じですけど、子どもが歌うことを考えるとメロディーがあった方がいいですよね?
松井:
そうですね、ラップパートとメロディーのあるサビパートとメリハリがついていた方がわかりやすそうです。
デッカチャン:
そういう「みんなで歌う」っていう要素を考えずに歌詞を作ったので、後からそういうのを足さないと…。
須賀:
そしたらある程度メロディーを作ってから歌詞をあてこんでいくようにしましょうか?ジャーマンはいろいろできるので、言ってもらったら対応できると思います!
松井:
じゃあ「ここに台詞を入れたいです」みたいな構成のイメージがあれば先に聞いておきたいです。
デッカチャン:
唐突に曲が始まるっていう感じが好きなので、台詞があって、そこからごまをすって…っていうイメージでデモを作ったんですけど、逆でもいいのかなっていう気もしています。
鈴木:
一回メロディーを作っていただいて、そこから考えてみてもよさそうですね。「ごまをする」じゃなくてほかの案が浮かぶ可能性もありますし、そもそも「手洗い」じゃなくて「LOVE & PEACE」みたいなテーマにしてもいいかもしれませんし。
須賀:
『We Are The World※2』みたいな?(笑)

※2We Are The World(ウィ・アー・ザ・ワールド):アフリカの飢餓、貧困問題を解消する目的で作られたキャンペーンソング。マイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダーなど著名なミュージシャンが45人も集って作られた。

鈴木:
そうそう(笑)。時期が時期※3なので「ハグしよう」とか「キスしよう」とかは言えないですけど、「人類みんなで乗り越えよう」っていう大きなテーマを掲げてもいいかもしれません。
まぁまずはメロディーですね。その後、デッカチャンに歌詞を作ってもらって、もしできれば「歌ってみた」的なデータをいただけると…。ボイスメモとかでいいので。

※3当打ち合わせはコロナウィルス感染拡大を抑えるため、ソーシャルディスタンスが推奨されている2020年3月に行われた。

デッカチャン:
そしたら『Voloco※4』っていうアプリで録音します。Dropboxとか、共有方法もいろいろあるので。

※4Voloco(ボロコ):リアルタイム音声処理アプリ。自動的に曲のキーを推測して声のピッチを修正する。

App Store
Google Play

鈴木:
なんですか、それ?子どもたちの声を録音するときも使えそうじゃないですか?
デッカチャン:
そうですね。オケ※5に合わせて録音できるので使えると思います。

※5オケ:ボーカルのない伴奏のみの楽曲のこと。語源は「オーケストラ」。

鈴木:
今の時期、会うことが難しいので子どもの声をどう録音しようかと思っていましたけど、アプリを使ってボイスデータを回収できるなら、制作は問題なく進められますね!
須賀:
でもMVの撮影はどうしましょうか。できれば楽しんでいる臨場感は欲しいですよね。
鈴木:
画としては『おかあさんといっしょ』のエンディングみたいなのをイメージしています。うたのおにいさんが歌って踊っている間、子どもたちは足にしがみついたり、その辺で遊んでいたり、強制させられることなく自由にしている感じがいいなって。
あべこうじ:
そういうの撮影できたらいいですけど、今コロナで難しそうですね。思ったのは、家の中で子どもが駄々をこねているときにTVではデッカチャンがこの曲を歌って踊っていて、それを見て子どもも踊りだして、次のシーンではデッカチャンが飛び出して一緒に親におねだりをする、みたいな感じだったらそんなに人数も必要じゃないかなって気がします。
デッカチャン:
TVの中の僕の歌によって子どもたちが親にごまをするっていうのは、どうなんですかね…?
鈴木:
最後に子どもと一緒にデッカチャンもお母さんに叱られたらどうですか?それか「ごまをする」っていうテーマから離れてもいいですし。映像としては楽しそうです!まず曲の形ができたらまた打ち合わせしましょう。
【あとがき】
多くの企業がコロナを理由に、当初進めていた企画を延期・中止していく中、打ち合わせは有意義に行われ、心的距離はより“密”になったMY SONGチーム。
柔軟に物事を捉え、前に進むことができるメンバーだと、制限された状況でもなにかに固執することなく新しい方法を取り入れることができ、次々にアイデアも湧いてくる。

次回はより具体的に楽曲のイメージが見えてきそうだ。
これ以降の打ち合わせは緊急事態宣言が発出 (2020年4月7日)されたため、ビデオチャットツールで行われることも決まった。

(次回へ続く)