2019.08.06

SPECIAL TALKS

Vol.3

人が「面白い」と思う瞬間

元銀座No.1ホステスで、現在は実業家として様々な事業を展開している鈴木セリーナと、テレビプロデューサーの神原孝、そして、『3ミニッツ』ディレクターの比嘉久人による、スペシャル座談会。
普通の会社員だったのに、ある日突然、アーティストデビューすることになった比嘉さん。“面白いプロジェクト”は、どんなプロセスで生まれるのでしょうか? クリエイターたちの頭の中をお見せします!


文=島野美穂(清談社)
写真=宗廣暁美

PROFILE

神原孝
テレビプロデューサー。1991年4月にフジテレビ入社。『とんねるずのみなさんのおかげでした』ディレクター時代に、音楽ユニット「野猿」のダンサーとして参加。その後『クイズ!ヘキサゴンⅡ』、『全力!脱力タイムズ』など、数多くの人気番組を手がける。2016年よりフジクリエイティブコーポレーション(FCC)執行役員。
比嘉久人
1983年、ボリビア生まれ。小学生の頃に日本に移住し、大学の情報系学部に進学。大学中退後、お笑い芸人養成学校に入学する。ネタづくりから企画に興味を持ち、卒業後はCMプランナー養成学校に入学。映像を本格的に学ぶため、ウエディング撮影の仕事に就く。それをきっかけにWebCMや企業のPR映像を撮影するようになり、映像メディアを自身で立ち上げた後、『3ミニッツ』に入社。
鈴木セリーナ
大分県出身。幼少期から英才教育を受けお嬢様として育つ。16歳の頃、親への反発心からドロップアウト。年齢を隠して、地元クラブのホステスとなる。20歳の頃、「銀座のクラブのママになりたい」と夢見て上京。当時、テレビで有名だった銀座高級クラブ「F」で働く。相手の懐に飛び込むトークと物怖じしない性格が受け、たちまち人気ホステスとなる。その後、銀座老舗クラブ「江川」に引き抜かれ、売上ナンバーワンに。銀座ホステスを辞めてからは、主に文房具を扱う企画会社とタレントのキャスティング会社を起業。マルチクリエイティブプロデューサーとして、ビジネスの世界でも成功を収める。実業界から政界、マスコミ業界まで、様々な業界のトップクラスと親交が深いことでも知られる。

人が「面白い」と思う瞬間

SPECIAL TALKS / Vol.3

比嘉さんから、セリーナさんに質問があるんですよね。

はい。セリーナさんは、思いついたアイデアを、思いついたその瞬間から実現するために行動されますよね。気持ちにブレーキがかかるときって、ないんですか?

ありません。思いついたことは、すべてやろうと思いますね。

僕もそうです。面白いことを思いついたときはノリが大事ですよね。

ノリが大事というのは、具体的にどういうことですか?

すぐ行動に移すことです。僕は島田紳助さんに、“すぐやる課”の人だと言われていました。言ったことを、すぐに実行するからです。
たとえば『クイズ!ヘキサゴン』が、リニューアルするときもそうでした。
スタジオのセットを、六角形のテーブルから階段席にしようと決定したのは、収録の一週間前に行われた打ち合わせでのことです。
1時間くらい会議をして大体の形が決まり、翌週にはセットを組み立ててしまいました。そこに出演者を18人集めてクイズをしたら、番組が盛り上がったんです。

1時間の打ち合わせで決めたことを、翌週には実現したということですか? 番組のリニューアルといったら、通常数ヵ月はかかるものなのに! それはたしかに“すぐやる課”の人ですね!

面白いものはすぐやりたい。ぐずぐず悩んで時間をかけたら、つまんなくなるんです。

ストップするくらいなら、やらないってなりますよね。

僕も鈴木さん同様、面白いと思ったらすぐ取り掛かるんですが、反対に、自分の気持ちが乗っていないときは、誰かに確認を取ろうとする傾向があります。そういうときは、心の中でどこかが違うなって思ってる証拠なんですよね。

その気持ち、すごくわかります。

僕はこれまで、反省することがたくさんありましたけど、鈴木さんは失敗しても反省しないですよね。多分、失敗したとすら思っていない。実現させるから、結果、それがすべて成功になる。
そんな成功が約束されたプロジェクトで、歌手デビューすることになった比嘉さんは、どう思ってるんですか?

正直、意味がわからないなと思いましたよ。

それなのに、よく「やる」って言いましたよね。

セリーナさんが言わせたんですよね!(笑)
まぁ、断ることはできたと思います。でも僕はもともと芸人を目指していたこともあって、新しいことに挑戦するのが好きなんです。
ディレクターという仕事をする上でも、経験したことすべてが糧になると思っています。それに、なにかあっても、セリーナさんのせいにすればいいかなって…(笑)。

本当に、経験したことは自分の糧になりますよね。何かあったら、「鈴木セリーナが、またなんかやってるよ」と言われるから大丈夫!

安心しましたね(笑)。
このプロジェクトは、どこに向かってるんですか?

今の段階では、8月中の配信を目指しています。※2019年8月配信決定
MINE』の編集長である秦さんは、作った曲をTikTokに流したいとおっしゃってました。『おじ説』の本編も新しいものを制作中なので、その販促も兼ねてですね。基本的には『MINE』と絡ませながら展開していく予定です。
何かができあがるのもそうですけど、そこに至るまでのプロセスも面白くしたいですね。右往左往しながら進むことも、コンテンツになると思うので。

デビューイベントなどはやらないんですか?

やりたいんですよ。ファンの方たちと、握手会したり、チェキ撮ったりね。

比嘉さんにモテ期が来るんじゃないですか!?

いやいや、それはどうでしょうか(笑)。
僕は歌手デビューがトントン拍子に決まって、この対談にも半ば強制的に参加することになったんですが、神原さんはどうして対談に参加しようと思ったんですか?

面白そうだからです。

すごくシンプルですね。

神原さんの面白いことに対するアンテナの伸ばし方って、すごいんですよ。はじめて食事に行ったときも、「面白そうなメニューがいいな」っておっしゃっていたのを覚えています。そんな選び方する人いますか!? 

「面白い」って笑うことだけじゃなくて、人の感情を震わせることだと思うんですよね。
心の琴線に触れて、揺れ動くから、“面白い”となる。
たとえば、すごく怖いホラー映画を観たとします。身の毛がよだつくらい怖くても、それを人に話すときは、「面白かった」と言いますよね。

たしかに、そうですね。

バラエティーも、視聴者を、笑わせて、感動させて、驚かせて、「面白く」させる。これが僕のポリシーであり、モノをつくるときのキーワードです。面白さを追求しなければ、テレビの世界で生きてる意味がないと思うんです。

神原さんの考え方って、成功する人の特徴の一つですね。いろんな企業のトップの方とお話する機会がありますが、そういう方々の判断基準は、大抵、面白いかどうかです。逆に、伸びない人ほど、数字やデータが好きな印象があります。

エビデンスとか、好きな人いますよね。ああいうのって、いくらでもでっち上げられるから、あんまり意味がないと思っています。
相手を説得・納得させるために使うんでしょうけど。

面白そうと思ったことは、数字なんて気にしていないで、とにかくはじめればいいんですよ。大事なのはその先です。トラブルが起きたときに対処する力のほうがずっと重要。

そうそう。失敗したときに、それをどうやってリカバリーしていくかのほうが大事です。

だからこそ、プロセスは面白いほうがいいですよね。
そのほうが、失敗も含めて、やりがいがありますから。

(第4回に続く)