2019.07.23

SPECIAL TALKS

Vol.3

X JAPANに学ぶ広告宣伝

元銀座No.1ホステスで、現在は実業家として様々な事業を展開している鈴木セリーナと、プロインタビュアーの吉田豪による対談連載、最終回。
誰もが気になっていた、鈴木セリーナと重本ことりの関係から、X JAPANのブランディングまで、今回も内容たっぷりにお届けします!


文=島野美穂(清談社)
写真=宗廣暁美

PROFILE

吉田豪
プロ書評家、プロインタビュアー、ライター。徹底した事前調査をもとにしたインタビューに定評があり、『男気万字固め』、『人間コク宝』シリーズ、『サブカル・スーパースター鬱伝』『吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集』などインタビュー集を多数手がけている。
鈴木セリーナ
大分県出身。幼少期から英才教育を受けお嬢様として育つ。16歳の頃、親への反発心からドロップアウト。年齢を隠して、地元クラブのホステスとなる。20歳の頃、「銀座のクラブのママになりたい」と夢見て上京。当時、テレビで有名だった銀座高級クラブ「F」で働く。相手の懐に飛び込むトークと物怖じしない性格が受け、たちまち人気ホステスとなる。その後、銀座老舗クラブ「江川」に引き抜かれ、売上ナンバーワンに。銀座ホステスを辞めてからは、主に文房具を扱う企画会社とタレントのキャスティング会社を起業。マルチクリエイティブプロデューサーとして、ビジネスの世界でも成功を収める。実業界から政界、マスコミ業界まで、様々な業界のトップクラスと親交が深いことでも知られる。

X JAPANに学ぶ広告宣伝

SPECIAL TALKS / Vol.3

前回は、『トリニータイソウ』がネット上で物議を醸したというお話で盛り上がりましたが、セリーナさんご自身も、たびたびニュースになるとか。

3、4年くらい前から、毎年、何かしらニュースになる機会がありますね。
大きいものから小さいものまでいろいろありますが、なかには「みんな、こんなことが気になるの?」というものもあります。

たとえば、どんなものですか?

私と重本ことりとの関係性についてです。私の会社はもともと、タレント・重本ことりが在籍していたので、一緒に表舞台に出る機会があったのですが、そうすると「売名行為だ」とか言われるんですよ。どうやら、重本を使って、私が目立とうとしてるように映るらしいんです。

特殊な関係ですからね、セリーナさんと重本さんは。ボクも最初は、「セット売りしているのかな?」という感覚で見ていました。

私たちは別に、どっちが表に出ようが出まいが、どうでもよくて…。楽しく仕事をして、それがお金になればいいと思っているだけなんです。ただ、その感覚がなかなかわかってもらえないんですよね。

実際は、どのようなご関係なんですか?

この間、重本とも話していたんですけど、私たちは楽しさや面白さを感じるポイントが、不思議なくらい一緒なんです。
たとえば、『おじさん取扱説明書』を書くきっかけになった事件のときもそうでした。
私はあるトラブルが原因で、週刊誌に載ったことがあったんですが、それが原因で人は離れていくし、仕事はなくなるし、散々だったんですよ。
あらゆるメディアが、毎日のように私の会社に問い合わせてきました。

それは大変でしたね…。

そんななか、ある週刊誌の記者が取材したいと連絡してきたんです。
私はそのとき、何か感じるものがあって、もうこれ以上失うものもないし、会って話してもいいんじゃないかって思ったんです。でも、周囲の人たちはものすごく反対するわけですよ。だけど重本だけは、「会ったほうがいい」と言ってくれたんです。

セリーナさんと重本さんだけが、同じ意見だったんですね。

結果的に、その記者と会ったことによって、私は『おじさん取扱説明書』を出版することができたので、あのとき会うという決断をして本当に良かったと思います。
そんな風に、反対意見が多くても、私の意見がマイノリティーでも、重本も同じように思っていることが、多いんです。

お話を聞けば聞くほど、不思議な関係ですよね。仕事のパートナー以上の絆のようなものを感じます。

なんなんでしょうね。私たちもよくわからないです(笑)。

セリーナさんが重本さんを洗脳してるなんてことも、言われてたんじゃないですか?

よく言われます。でもね、それを言ってる人に対して、言いたいんですけど、彼女を洗脳する(?)方法があるなら、逆に私に教えてください(笑)。

事実は全然違うんですね。

だって彼女、今年の3月にアルバムをリリースするはずだったんですよ。それに、4月にはワンマンライブをするという告知も出してたんです。
でもそれを全部止めるといい出したんです。地方のスポットCMとかも抑えてたんですけど、すべておじゃんですよ。

洗脳できてたらそんなことになってないですね。

そうですよ! 洗脳に失敗した人って言われるなら、まだわかるんですけどね。まぁ、私たちの見た目の雰囲気もあるかもしれないですね。洗脳しそうな人と、洗脳されそうな人(笑)。
“純粋なことりちゃん”が、“謎の女社長”によってダークサイドに落ちていったという風に見えるんじゃないでしょうか。

ファンの中には、そう見えている人も、もしかしたらいるかもしれませんね。

私もそうですけど、実際に会ってイメージが違うってことはよくありますからね。
極悪人だと噂されている人ほど、すごくいい人だったりします。

政治家とかそうですよね。ボクも嫌いな政治家はいますけど、会うと、その人が人気な理由がわかります。その人に一票を入れる気はないけれど、人としては好きだなぁと思ったりするんですよ。

人気の政治家ほど、ツッコミどころが多いなと思うことありませんか?
ものすごくワンマンで怖そうに見える人なのに、普段は秘書がいないと何もできないとか。

わかります。いい意味で隙だらけなんですよね。「うかつ! でも、可愛い!」ってなっちゃう(笑)。だからボク、政治家には近づかないようにしています。苦手なのに、会うと「可愛い人だな」ってなっちゃうから。

政治家も、人気商売ですからね。

人気商売というと、『X JAPAN』は人気を維持するのが、とても上手だと思います。
アーティストとしての魅力はもちろんのこと、“シンプルでわかりやすいモノが好き”という大衆の深層心理を上手く衝いてきていると思います。

そうですね。あんなにドラマのあるバンドは、ほかにいないですからね。

X JAPANが大衆の深層心理を上手く衝いているというのは、どういうことですか?

人に魅せる表現力がとても優れているんです。私はX JAPANの魅力を研究するために、これまで2回ライブに足を運びました。
それでわかったのが、彼らは同じドラマを何回も見せることで、ファンの心をガッチリ摑んでいるんです。

激しくドラムを叩いて失神寸前になるYOSHIKIを見て、「大丈夫か!?」とか思うやつとか、そうですよね。何度見ても、心配になっちゃう。

そうです、それです! あとライブでは、HIDEのお葬式の映像を、毎回流すんです。
それを見たファンは、涙を流しながら当時に戻るんです。

HIDEもそうですし、ほかのメンバーみんなのキャラが立っているのも、X JAPANの魅力ですよね。

悲劇的な出来事がたくさん起きたバンドだけど、前を向いて頑張るメンバーたちの姿を見て、ファンはますます虜になっていく…こう言ってはなんですが、X JAPANは、『同情を誘う宣伝法』の成功例だと思います。X JAPANのライブに行って、私は広告宣伝とは何かを学びました。
伝え方にも、いろんな方法があるんですよね。

(完)

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